「姫路パルナソス音楽コンクール」は、将来性豊かな才能を持つアーティストを発掘し、姫路とゆかりを持ちながら今後の音楽活動支援を目的とするもので、副賞のほか、各部門の第1位受賞者にはプロオーケストラとの共演機会を提供しています。
今年は6月24日(土)に弦楽器部門、25日(日)にピアノ部門の本選があり、7名のみなさんが受賞しました。インタビューとともにご紹介します。
――演奏を終えて、今のお気持ちは。
本番は緊張の中で絞り出すような音楽になってしまい反省点も多いですが、審査員の先生方に評価していただけて、嬉しいと同時に身が引き締まる思いです。
――パルナソスホールで演奏してみて、いかがでしたか。
客席で聴く響きが美しいだけでなく、舞台上でも弾きやすかったです。
――どのような作品を専門に勉強していますか。
クラシック音楽の、J.S.バッハのバロック音楽からバルトークなどの近現代まで、多くの作品を勉強しています。
――目標にしている演奏家と、将来の夢を教えてください。
目標というとおこがましいですが、尊敬しているのはチョン・キョンファさんと五嶋みどりさんです。将来は音楽活動だけでなく、世界中の国々を巡ってその地に根ざす民族音楽や文化を見て回りたいです。
――受賞者演奏会への抱負や意気込みをお聞かせください。
コンクールでは自分の内面と向き合う音楽でしたが、演奏会では来てくださる方々に届くような音楽を心掛けて、私自身もよりホールの響きを楽しんで演奏したいです。
©Ayane Shindo
《プロフィール》
1996年生まれ。沖縄県出身。東京藝術大学を経て、同大学大学院修了。第22回KOBE国際音楽コンクール弦楽器部門最優秀賞および兵庫県教育委員会賞。第38回かながわ音楽コンクールヴァイオリン部門一般の部第3位。第26回宮日音楽コンクール弦楽器部門最優秀賞および宮崎日日新聞社賞(グランプリ)。第24回さくらぴあ新人コンクールさくらぴあ大賞(第1位)。
――演奏を終えて、今のお気持ちは。
本番はのびのびと、ホールの響きを噛み締めながら演奏していました。また、この機会を通して多くの課題も見えました。
――パルナソスホールで演奏してみて、いかがでしたか。
響きがよく広がるような感覚がありました。いつもホールの奥まで届くようイメージしながら演奏しますが、音がしっかり跳ね返ってきてくれた気がしました。
――どのような作品を専門に勉強していますか。
最近はバッハ全般やブラームスのヴァイオリンソナタなどを中心に勉強しています。(現代音楽はあまり演奏したことがないので、今後はもっと取り組んでいこうかと思っています。)
――目標にしている演奏家は。
昔から憧れている演奏家はダヴィッド・オイストラフです。あの音色をずっと追い求めていきたいです。
――受賞者演奏会への抱負や意気込みをお聞かせください。
またパルナソスホールで演奏できることを嬉しく思っています。お客様に楽しんでいただけますよう、心を込めて演奏いたします。
《プロフィール》
2002年生まれ。第73回全日本学生音楽コンクール全国大会高校の部第1位。併せて東儀賞、兎束賞、かんぽ生命奨励賞、サントリー芸術財団名器特別賞を受賞し、TOMMASO CARCASSI(1751年)の貸与を受ける。第10回クオリア音楽コンクールコンサーティスト部門第1位およびクオリア大賞。第19回大阪国際音楽コンクール弦楽器部門Age-H第2位(最高位)。現在、東京藝術大学音楽学部3年次在学。
――演奏を終えて、今のお気持ちは。
すばらしい先輩方と一緒に出させていただきました。緊張しましたが、丁寧にしっかり演奏することを心がけました。入賞することができて、とても嬉しいです。
――パルナソスホールで演奏してみて、いかがでしたか。
とても響きが良く、弾いていてとても気持ちよかったです。大きなホールで弾いたときにどのようにくっきりと分離した音にするのか、今後の課題も見つかりました。
――どのような作品を専門に勉強していますか。
私はまだ高校2年生なので、ジャンル、年代を問わずレパートリーを増やせるように勉強中です。
――目標にしている演奏家はいますか。また、将来どんな活動がしてみたいですか。
憧れている演奏家はスティーヴン・イッサーリスです。将来は、個人の活動はもちろんですが、オペラのオケで弾くのが夢です。
――受賞者演奏会への意気込みをお聞かせください。
演奏させていただけることを光栄に思います。先生方の講評を糧として、少しでも良い演奏をお客様にお届けしたいと思います。
《プロフィール》
2006年生まれ。泉の森ジュニアチェロコンクール金賞、日本クラシック音楽コンクールグランプリ、全日本学生音楽コンクール大阪大会1位、全国大会入選。関西弦楽コンクール優秀賞、審査員特別賞他。現在、相愛高等学校音楽科2年在学中。
――演奏を終えて、今のお気持ちは。
歴史あるこのコンクールにエントリーして、3位という賞をいただき、とても嬉しいです。
――パルナソスホールで演奏してみて、いかがでしたか。
響きがとてもすばらしくて、再び受賞者演奏会で演奏させていただけるのが今から楽しみです。
――どのような作品を専門に勉強していますか。
バッハやヴィヴァルディなどのバロック時代の音楽から、ブラームスやパガニーニなどのロマン派時代まで、幅広く学んでいます。
――目標にしている演奏家はいますか。また、将来どんな活動がしてみたいですか。
五嶋みどりさん、フランク・ペーター・ツィンマーマンさん、ノア・ベンディックス=バルグリーさんです。音楽を通して社会貢献ができる活動家になりたいです。
――受賞者演奏会への意気込みをお聞かせください。
シベリウスの協奏曲を演奏する予定です。シベリウスの壮大な音楽をお伝えできるように、頑張って演奏します。
《プロフィール》
2003年生まれ。6歳からヴァイオリンを始める。第74回全日本学生音楽コンクール大阪大会第1位。第12回クオリア音楽コンクールコンサーティスト部門大賞。第8回豊中音楽コンクール弦楽器部門、大学・一般の部第1位、豊中市長賞。相愛大学音楽学部2年次に特別奨学生として在籍中。
表彰式にて
みなさんは楽譜に忠実に演奏するわけですが、どうしても個人差が出ます。楽譜に書いてある音の長さ、高さ、強さなどをきちんと守って弾いているのに、違ってきます。
音楽では、深い音、濃い音、太い音、明るい音といった言い方をしますが、言葉で「重く」「明るく」と書いてあっても、どのくらい重くなのか、どのくらい明るくなのかは書いていません。しかし明らかに、その重さとか明るさとか濃さとかがあるわけです。
みなさんが演奏でそれを表現するとき、重さや明るさに関する感じ方、全体の流れの作り方、構成の仕方に個人差が生まれ、それによって結果が生まれます。もちろん、音楽に良いも悪いもないのですが、人を感動させるに足るすばらしい演奏であるとか、もうちょっと深く練習を重ねてほしい演奏であるとか、そういう差が現れるわけです。
ここで演奏したこと、審査員の先生方に聴いてもらったことは、間違いなくみなさんの中でずっと生き続けるでしょうし、これからの演奏に反映されると思います。結果そのものではなく、きょうの体験を大事に心に留めて、これからの音楽の作り方や音楽との接し方に生かし、たくさんの人を音楽で感動させる体験を重ねていってほしいと思います。(談)
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