オルガンシリーズの記念すべき20回目の公演「オルガン協奏曲の祭典」が今年4月、パルナソスホールで開催されます。
2019年3月開催の同シリーズ第1回に長田真実さんとオルガン連弾で出演され、第20回ではオルガニスト・指揮者としてご出演いただく大平健介さんに、公演に向けてインタビューを行いました。
バロック音楽は「音で語る」音楽です。演奏家は楽譜に書かれたもの、そこに秘められているものを読み取り、音たちを言葉のように操って音楽にして伝えます。特にバッハの作品の中には数字や音型にさまざまな意味やメッセージが隠されていて、演奏家は楽譜からその意図を汲み取り、読み解いて演奏していく必要があります。
今回のメンバーは、作品を豊かに掘り下げ、深く読み取り、バッハの思いを引き出せるみなさんですので、楽しく、いきいきと、気持ちよく演奏できると確信しています。
プログラムを少し紹介します。J.S.バッハ「協奏曲 ニ短調 BWV1052」は、本来はチェンバロ協奏曲として書かれた作品です。日本ではピアノで奏でられることがほとんどで、オルガンは非常に稀。お聴きになるとおそらくその新鮮な響きに「オッ!」と驚かれることでしょう。
同じくJ.S.バッハ「前奏曲とフーガ ホ短調 BWV548」はオルガンソロの作品です。ヨーロッパではキリストの復活を祝う「イースター」がクリスマスと共に重要な行事で、今年は4月20日です。18日は聖金曜日(十字架にかけられた日)という「受難と死」の日で、演奏会当日の19日は、死と復活のちょうど真ん中にあたります。そこで「苦しみから喜びへ」というイメージをもつこの作品を選びました。
パルナソスホールは室内楽にぴったりのホールです。協奏曲はこれまでに2回開催しましたが、あまりにも楽しかった、という実感があります。オルガンと他楽器とのかけあいはもちろん、今回だけの素晴らしいアンサンブルをたっぷりお楽しみください。
Profile/大平健介(Kensuke Ohira)
東京藝術大学及び同大学院卒業。2010年よりDAAD給費留学生として渡独。ヴュルツブルク及びミュンヘン音楽大学にて教会音楽と現代音楽を学ぶ。2013年国家演奏家資格取得、文化庁新進芸術家海外研修員。2016年IONニュルンベルク国際オルガンコンクール優勝。以後2020年まで、シュトゥットガルトーシュティフツ教会専属オルガニストとして教会内での多岐に渡る音楽プロジェクトに携わった。2021年に日本へ完全帰国し、現在は日本キリスト教団聖ヶ丘教会首席オルガニスト及びアンサンブル室町芸術監督を務める。
▶公演詳細 オルガンシリーズVol.20「オルガン協奏曲の祭典」
▶文化情報姫路 4月号 特集「パルナソスホールのオルガンシリーズ」