パルナソスホール(姫路市立姫路高等学校音楽ホール)

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パルナソスホールブログ

2024年7月28日 更新

第27回 姫路パルナソス音楽コンクール受賞者インタビュー【管楽器部門】

「姫路パルナソス音楽コンクール」は、将来性豊かな才能を持つアーティストを発掘し、姫路とゆかりを持ちながら今後の音楽活動支援を目的とするもので、受賞特典に副賞を授与するほか、次年度以降にオーケストラとの共演機会を提供しています。

今年は6月22日(土)に管楽器部門、23日(日)に声楽部門の本選がありました。受賞者の皆さんをインタビューとともにご紹介します。

【管楽器部門(6月22日(土)開催)】

第1位/国際ソロプチミスト姫路賞 廣畑きらりさん(サクソフォン)

――演奏を終えて、今のお気持ちは。

最後まで無事に演奏することができた安堵感と、いままで私に関わってくださった方々への感謝でいっぱいです。

 

――パルナソスホールで演奏してみて、いかがでしたか。

生まれてから高校生まで姫路で過ごしていたので、何度もパルナソスホールで演奏させていただきました。思い出がたくさん蘇ってきて、自分の原点に立ち返ることができました。

 

――どのような作品を勉強していますか。

日本人作曲家が書いた作品が特に好きで、よく演奏しています。サクソフォンは楽器界ではまだ新人の部類で、他の楽器より曲数が少ないです。なので、これからのサクソフォンの発展のためにも、作曲家の方に多くの作品を作っていただけるように、これから活動していきたいと思っています。

 

――将来はどんな演奏家になりたいですか。

須川展也さんのように、演奏技術と人間性の両方を兼ね備えた演奏家になりたいです。私のサクソフォンを通して、多くの人と音楽を共有できればと思います。

 

――受賞者演奏会への抱負や意気込みをお聞かせください。

皆さんの前で演奏できる機会をいただけて、心から嬉しい気持ちでいっぱいです。生まれ育った姫路で演奏することは、私にとって特別なことです。また姫路に帰る日を楽しみに、今からしっかりと準備をしていきます。

 

 

廣畑きらり

©Ayane Shindo

《プロフィール》

姫路市出身。高校の吹奏楽部でサクソフォンを始める。龍谷大学文学部に進学し卒業後は大阪府警察に就職するが、須川展也氏の演奏会にて感銘を受け、東京藝術大学へ進学。第27回KOBE国際音楽コンクール優秀賞、神戸市民文化振興財団賞受賞。第72回新進演奏家育成プロジェクトオーディションに合格し、日本フィルハーモニー交響楽団と共演。奏楽堂モーニング・コンサートに推薦され、藝大フィルハーモニア管弦楽団と共演。

 

第2位 村上小夏さん(フルート)

――演奏を終えて、今のお気持ちは。

20分という演奏時間をいただける機会はあまりないので、協奏曲全楽章に挑戦しました。最後まで表現して吹き切ることができ、とても良い経験になりました。

 

――パルナソスホールで演奏してみて、いかがでしたか。

広いホールでしたので、自分の音がどのように響いて届いているのだろうと想像しながら演奏しました。素敵なホールの舞台に立てて嬉しかったです。

 

――どのような作品を勉強していますか。

バッハやモーツァルトなどバロックや古典期の作品から、特殊奏法などを用いた現代の作品まで、さまざまな時代や国の違いを楽しみながら勉強しています。

 

――目標にしている演奏家、将来の夢は。

フルートを始めた時からハン・ヨジンさんの演奏が好きで、今でも憧れのフルーティストです。将来はオーケストラでの活動や、海外で演奏することも目標です。

 

――受賞者演奏会への抱負や意気込みをお聞かせください。

もう一度姫路で演奏する機会をいただけてとても嬉しいです。聴いてくださるお客さまの心に届く演奏ができるよう、精いっぱい準備して参ります。

 

村上小夏

©Ayane Shindo

《プロフィール》

8歳からフルートを始める。第72回全日本学生音楽コンクール全国大会中学生の部第1位。第74回同全国大会高校の部第1位。第40回かながわ音楽コンクール一般の部第2位。これまでに立花雅和、森 圭吾、高木綾子、大平記子、小池郁江の各氏に師事。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、現在東京藝術大学3年次在学中。

 

第3位 山岡郁子さん(ユーフォニアム)

――演奏を終えて、今のお気持ちは。

かなりバタバタとした準備期間で、不安が残ったまま迎えた本番でした。その不安が緊張の引き金となり、細かいミスへと繋がってしまいましたが、コンクールに向けて練習してきた現時点での自分自身の最大を、本番で出せたのではないかと思っています。細かい部分を思い返せば、改善できる点や今後の課題もたくさんありますが、第3位という結果をいただけて本当に嬉しく思います。

 

――パルナソスホールで演奏してみて、いかがでしたか。

複数の知人から「よく響くホール」だと聞いていました。舞台上で実際に1音目を吹いたときは、思っていた以上に響いていて、緊張しながらも演奏を楽しむことができました。また、ホール関係者、コンクール関係者の方々の心遣いがとても素晴らしく、舞台裏で緊張していた私の心に沁みて緊張が和らぎました。ありがとうございました。

 

――どのような作品を勉強していますか。

普段はユーフォニアムのコンチェルトを中心に、テクニックやアナリーゼ(楽曲分析)を勉強しています。どの曲を演奏するにあたっても、作曲者がどのような背景で書いたのか、どのように演奏してほしいのかという意図を汲み取ることを大切にしています。

今回、演奏した曲は、コンチェルトとは打って変わって、かなり現代曲寄りの作品でした。自分自身で選ばない限り、めったに暗譜で演奏することがないような曲なので、挑戦することができ、とても良い経験となりました。

 

――どんな演奏家を目指していますか。

憧れの演奏家の方々はたくさんいます。その方々に魅力を感じる共通点は、「音楽を楽しんでいる」と聴き手側が感じられるような演奏をされているという点です。私も将来、そのように心を動かせるプレイヤーになり、聴いてくださった人を私の音楽に没頭させる演奏がしたいと思っています。

 

――受賞者演奏会への意気込みをお聞かせください。

十分に私の演奏の魅力が伝えられるように頑張ります。聴いてくださった人を感動させるという将来のための第一歩となる演奏ができたらと思います。

 

山岡郁子

《プロフィール》

大阪府大阪市出身。9歳からブラスバンドにてトロンボーン、12歳から吹奏楽部でユーフォニアムを始める。現在、大阪音楽大学音楽学部音楽学科管楽器専攻4年在学中。ユーフォニアムと室内楽を木村寛仁氏に師事。第9回堺管打楽器コンクールにて本選出場。

 

コンクール講評/審査員長 池辺晋一郎さん

表彰式にて

 

根本的な「音楽の持続のつくりかた」ということを、個人的にいちばん感じました。音楽というのは「時間芸術」ですから、ある一定の時間、演奏者は自分の音楽を構成しなければならず、その中にはいろんな起伏や、濃淡もあるわけです。皆さんがきょう演奏したのは「調性音楽」で、作曲者自らが「トニックとドミナント」というふうな設定をしています。すなわち「安定と緊張」が、持続の中で起伏をつくるわけです。演奏家は、設定に応じた安定の時間、緊張の時間を作っていき、それが結果的に濃淡にもなるわけです。

持続を作るためには、たとえば和声に対する知識、いろんな音楽のかたち(フォルム)に対する知識が必要になってきます。ただ勉強するだけじゃなく、それを現場の音楽としてどう応用させて、どう音として具現するかということ、それこそが最も大切です。それらが演奏に反映して、音になって、聴こえてくるわけですから。

結果はこれから発表されますけれども、結果よりも重要なのは、コンクールという生の現場、しかも批評されるような演奏の現場で体験をするということです。聴いてくださる方がいて、自分の演奏が評価されるという場で演奏した、この体験を皆さんのこれからの財産、糧にしていただきたいと思います。(談)

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