
パルナソスホールで開催されている「音楽をのぞいてみよう!」は、現代の作曲家・池辺晋一郎さんが、作曲家ならではの視点でクラシック音楽を大解剖するコンサートシリーズです。バッハ、ベートーヴェン、チャイコフスキー…… と毎回一人の大作曲家に焦点を当て、名曲の数々を生演奏で楽しみながら、「こう書いたワケとは?」を読み解いていきます。
2021年9月に始まったこの「音楽をのぞいてみよう!」シリーズが、12月に最終回を迎えるにあたり、前編では企画の発案者であり各回の「お話」を担当する池辺さんに、そして後編では、これまでに出演された北垣 彩さん、石川未央さんにお話しを伺いました。
——北垣さんは2021年の「姫路パルナソス音楽コンクール」で受賞されました。
第1位を受賞できたことがきっかけで、パルナソスホールとのご縁ができました。コンクールで初めて演奏したとき以来、ホールの音響に惚れ込んでいて、このシリーズでオファーをいただくたびに「またあのホールで演奏できる!」と本番を心待ちにしていました。出身地が大阪ということで、何度も出演できたのも幸運でした。
——ご出演はシリーズ最多の3回です。
最多とのこと、大変光栄に思います! 初めて出演した第2回(シューベルト)は、コロナ禍で人前での演奏が減った時期でした。演奏を聴いてもらえる幸せ、パルナソスホールのあたたかく包まれるような響きを存分に味わいながら演奏しました。
特に印象に残っているのは、池辺先生が特別に編曲してくださった第9回です。メンデルスゾーンの「歌の翼に」は大好きな曲で、先生が書いてくださったピアノトリオ版は、ヴァイオリンとの掛け合いが得も言われぬ美しさでした。

2025年7月20日開催 第9回メンデルスゾーン
——シリーズを振り返ってみると。
即興的なアプローチが満載で、池辺先生のどんなお話が聞けるかと、毎回ワクワクしていました。一人の作曲家について、現代の著名な作曲家がユーモアたっぷりにわかりやすく解説するコンサートは、ありそうでなかった素晴らしい企画だと改めて感じます。この企画が続いていくとうれしいです。

北垣 彩(チェロ)
大阪府出身。東京藝術大学大学院修士課程修了。文化庁新進芸術家海外研修員としてライプツィヒ音楽演劇大学大学院修士課程を首席で修了。第24回姫路パルナソス音楽コンクール第1位など入賞多数。(一財)地域創造2025、2026年度登録アーティスト。
——シリーズ幕開けの第1回に出演されました。
第1回(モーツァルト)は4年前で、私は節目の20歳。ピアニストの山中歩夢さんと2曲を共演しました。音楽家を目指していく中で欠かせない「モーツァルトについて」の知識をたくさん得られたことも含め、ずっと思い出に残っている公演です。
遊び心あふれるセットリストと池辺先生のお話で、クラシック音楽を普段あまり聴かない友人、終演後にお会いしたお客さまも「とても楽しかった」と言ってくださり、とてもうれしかったです。

第1回モーツァルト
——最終回となる第10回にもご出演です。
パルナソスホールは幼少期からたくさんの演奏会を聴きに訪れた場所で、私にとって故郷であり、ヴァイオリニストとしての原点でもある大好きなホールです。また出演できることを、うれしく思っています。
ハイドンは「弦楽四重奏曲の父」と呼ばれ、桐朋学園大学で室内楽を学ぶ人が必ず通る作曲家です。今回演奏する「皇帝」「ひばり」は弦楽四重奏の勉強を始めた頃に取り組んだ曲で、思い入れが強いです。今回は、桐朋の学生生活を共にした信頼できる仲間と、弦楽四重奏団で出演します。最高の演奏会にできるようにがんばります。

クワテュオール・エグレット

石川未央(ヴァイオリン)
姫路市出身。第69回全日本学生音楽コンクール全国大会第2位。第21回姫路パルナソス音楽コンクール弦楽器部門入賞。第9回ノヴォシビルスク国際ヴァイオリンコンクール シニア部門第2位。ノヴォシビルスク州立交響楽団と共演。