4月15日(土)の「オルガンシリーズ Vol.14」に出演するお二人に、一問一答形式でメールインタビューを行いました。
第1回はオルガニストの大平健介さんに、第2回はファゴット奏者のウルリッヒ・ヘルマンさんに、お二人の出会いや音楽観などについて聞きました。
―――これまでにヴァイオリンやホルン、歌とのアンサンブルなど様々なコラボレーションをされていますが、共演する楽器はどのように選んでいますか。
共演する楽器と作品の相性について慎重に考える必要はありますが、パイプオルガンは基本的に、どの楽器とも共演できます。今回は楽器を選んだというよりも、ウルリッヒと一緒に音楽をしたいなあという素朴な思いから、このプロジェクトがスタートしました。
―――ウルリッヒさんとの出会いは。
2017年にバッハのクリスマス・オラトリオを演奏した際に、僕たちは同じ管弦楽団の通奏低音のチームにいました。つまり、チェリストの背中を見ながら、僕とウルリッヒは並んで演奏していたのです。公演を重ねていくうちに意気投合し、食事に招かれるようになり、デュオとして演奏してみようかというアイデアが生まれました。
それは僕にとって初めての試みとなりましたが、そもそもウルリッヒ本人が持つ素晴らしい人間性、芸術性に魅せられている自分がいましたから、ウルリッヒと一緒に音楽を作っていけるなら、きっときっと素晴らしいものになるだろうという確信がありました。いまでも、この話をした美しい夜のことを覚えています。
「クリスマス・オラトリオ」演奏会の動画
(シュトゥットガルトのヒムヌス少年合唱団のYouTubeチャンネルより)
―――ウルリッヒさんの魅力は。
いつでも穏やかなところです。そして、とても臨機応変で、のびのびとしています。それはリハーサルにおいても、または神経を使うCD録音のような場面であっても、あるいはみんなでワインやウイスキーを飲んだりしていても、彼は基本的にリラックスしています。
指導者として、また歌劇場管弦楽団の首席奏者として百戦錬磨のスケジュールをこなしてきた彼だからこそかもしれませんが、そんな彼と過ごしているだけで、自分の音楽も自然な方向へ導かれているように感じることがあります。
―――ファゴットとの共演にはどんな魅力がありますか。
リハーサルを重ねていくうちに、どんどんとファゴットの音色に魅せられていきました。管楽器ならではの息遣い、そして楽器そのものが持つ音色の性格(キャラクター)が僕は好きです。切ないような、滑稽なような、あるいは力強く芯のあるような……。ウルリッヒの音色には引き出しが多いなあと感じています。作品や場面ごとに、次はどんな音色が飛び出してくるのか、リハーサルのたびに楽しみにしています。
―――今回はどのようなプログラムですか。
ファゴットとオルガンのための作品はほとんどありませんので、今回はファゴットと管弦楽、またはファゴットとピアノのための作品を僕がオルガンにアレンジし、お届けいたします。「原曲より良い!」とウルリッヒも言っています。ファゴットとオルガンというと、まったくイメージできないかもしれませんが、実はどちらも管楽器、つまり空気を必要とする楽器であり、音色もとても相性が良いんです! 室内楽が美しく響くパルナソスホールの空間は、今回のプログラムにぴったりな会場です。どうぞお楽しみに!
―――お客さまへメッセージをお願いします。
今回はオルガンソロの1曲を除き、すべてが編曲ものになります。「オルガンってこういう音も出るんだ!」とか「ファゴットってこんな楽器だったんだ!」というような、みなさまにとっても新鮮で、新しい発見に溢れた楽しい公演になったらいいな、と思っています。
素晴らしい音楽家のみなさまとご一緒させていただくことは、いつも大きな喜びです。それでは、会場でお会いいたしましょう!
(2023年3月メールインタビュー)