パルナソスホール(姫路市立姫路高等学校音楽ホール)

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パルナソスホールブログ

2021年4月2日 更新

大平健介さんインタビュー③ ~教会オルガニストとして~

教会オルガニスト 大平健介さんのインタビュー第3回です。(第1回「オルガンと出会い、音楽を志す」、第2回「ドイツでの充実した日々」はこちら)

 

 

日本に拠点を移した大平さん。自身の肩書や今後の課題、さらに、4月11日に開催のオルガンシリーズVol.8で共演する白井圭さんについてもお聞きしました。

完全帰国、姫路在住

ドイツに住み、日本と行き来しながら演奏活動を行ってきましたが、今年、完全帰国し、現在は姫路に住んでいます。ドイツ語で姫路を表すなら「RUHE」。落ち着き、静かな空気感、みたいなニュアンスでしょうか。男山配水池公園、ワインショップなど、お気に入りの場所もたくさんできました。いまも開拓中です。

姫路・男山配水池公園で。

「教会オルガニスト」と名乗る理由

日本では「コンサートオルガニスト」「教会オルガニスト」と呼び分けますが、それは、日本の教会オルガニストが主に「奉仕者」だからです。生活の基盤となる仕事としては、みなされていません。

ドイツでは、大教会のオルガニストであること、あったことが教授になる条件のひとつです。日本の教会オルガニストのイメージを変えていくためにも、僕は「教会オルガニスト」「教会音楽家」と名乗っていきたい。日本は世界でも稀なオルガン大国です。コンサートホールのみならず、キリスト教主義の学校や教会にあるたくさんのオルガンのもとに、演奏者がもっと訪れられるようにしたい。

シュティフツ教会の写真

白井圭さんとの出会い

僕はシュティフツ教会でオルガン見学会も担当していて、ある日、ヴァイオリニストの後輩から「いまから行っていいですか」と連絡をもらった。その後輩が男の人を連れてやって来て、その人がまあ、知的好奇心が旺盛すぎるというか、他の見学者とは明らかに食いつきが違っていた。見学を終えて「いまから飲みに行くんだけど」と誘われ、じゃあ1杯だけ、とついて行くと、店にいた大勢のプロオケのメンバーに、彼が大歓迎されている。そのとき初めて「白井さんって、あの白井圭さん?」と(笑)。

 

白井圭さんと。ドイツにて ドイツで白井圭さんと共演。

圭さんの魅力

ドイツで何度か共演したのですが、やってみようよ、試してみようよ、もっとやってみようよ、と実に貪欲。いい音を、ともにつくっていこうとする姿勢がすばらしい。

練習ではものすごくリラックスしているし、前日も「もっと飲んでようよ~」というかんじなのに、本番はガラッと空気が変わる。集中力がすごい。

独自の世界観、空気感を持っていて、とても魅力的。年上だけど先輩面や大物面をしないし(笑)、僕の本当の力を引き出してくれる。いやほんと、白井さんにもインタビューしてくださいよ(笑)。

大平健介さんインタビュー

プログラムについて

今回の演奏会では、圭さんと一緒だからこそ、みなさんがよく知っている曲をあえてやりたいと考えました。プログラムはどれも、みなさんが「こんな感じの演奏だろう」と予想、または確信されている曲。そこを、良い意味でひっくり返したい。ヴァイオリンとオルガンという、よくあるデュオで、これまで聴いたことのない作品、いつまでも記憶に残るような新鮮な演奏をお届けするつもりです。

 

 

▲白井圭さんと大平健介さんの演奏動画。「J.ラインベルガー:ヴァイオリンとオルガンのための6つの小品 作品150」(録音・撮影 アレクサンダー・ナジ  2020年)

※4月11日のオルガンシリーズでも演奏予定です

最後に一言、メッセージを

オルガンは空間に響き、空間に作用する楽器です。パルナソスホールはオルガンの魅力に加え、ホールの響きも魅力ですので、そこもぜひ楽しんでほしい。シャワーのように極上の音を浴び、湯船に浸かるように響きに浸る“音浴”を、ぜひ体験してほしいです。

(2021年3月@パルナソスホール 取材・文:鷹居美紀)

 

写真1枚目:姫路・男山配水池公園にて。

写真2枚目:ドイツ・シュティフツ教会のパイプオルガン。

写真3、4枚目:白井圭さんとドイツにて。

写真5枚目:パルナソスホールにてインタビュー。

大平健介(オルガン)

大平健介(オルガン)Kensuke Ohira ,organ

 

▶出演者・公演情報詳細「オルガンシリーズVol.8 白井圭×大平健介デュオコンサート

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