パルナソスホール(姫路市立姫路高等学校音楽ホール)

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パルナソスホールブログ

2021年11月30日 更新

第24回 姫路パルナソス音楽コンクール受賞者インタビュー

姫路パルナソス音楽コンクールは、将来性豊かな才能を持つアーティストを発掘し、姫路とゆかりを持ちながら、今後の音楽活動を支援することを目的に、平成10年(1998年)より、ここパルナソスホールで開催しています。

今年はピアノ、弦楽器の2部門を開催、4名の方が受賞され、10月には受賞者演奏会にて演奏を披露していただきました。

 

この受賞者インタビューは、「音楽のまちひめじ」リーフレットに掲載した、姫路の子どもたちに向け、受賞者よりいただいたものです。

最優秀 池辺晋一郎特別賞 北垣彩さん/フランク:ソナタ イ長調 FWV8  チャイコフスキー:弦楽六重奏曲 ニ短調 Op.70≪フィレンツェの思い出≫(日本センチュリー交響楽団 弦楽アンサンブルと共演)

――楽器を始めたきっかけは

世界的チェリストのヨーヨー・マが演奏しているビデオを伯母が持っていて、彼がとても楽しそうに弾いているのをみて「わたしも演奏してみたい!」と思いました。4歳のときです。発表会で上手に歌えたら子ども用のチェロを買ってあげると母に言われ、がんばった記憶があります。

 

――音楽大学に進もうと決めたのはいつですか

中学2年生くらいの頃です。それまでスズキ・メソードで習っていたのですが、この頃から林 裕先生のもとへレッスンに通うようになりました。音楽大学へ行ったら室内楽やオーケストラで演奏できるのも魅力的でした。東京藝術大学に進み、修士課程を修了しました。

 

――留学経験はありますか

ドイツで約2年間、令和元年度文化庁新進芸術家海外研修員として、メンデルスゾーンが創立したライプツィヒ音楽演劇大学修士課程で学び、首席で修了しました。在独中は演奏会をたくさん聴きました。ドイツではコンサートが社交場のような機能を果たしていて、クラシック音楽が日常生活の一部になっているのだなと感じました。クリスティアン・ギガーさんのレッスンを受けたことも忘れられません。毎週、ライプツィヒ郊外にある先生のお宅に通いました。

 

――練習が辛いときはありますか

子どもの頃は練習が嫌いだったのですが、最近は必要に迫られていることが多く、あっという間に時間が過ぎます。集中できないときはお昼寝をしてからコーヒーを飲んだり甘いものを食べたり読書したり。リフレッシュしてから、また練習に戻ります。

 

――受賞者演奏会を終えて、いまの感想は

日本センチュリー交響楽団のみなさんと演奏させていただき、とても良い経験になりました。パルナソスホールは音の残響が長く響きが豊かですので、演奏していてとても心地良く、また演奏したいと思いました。

 

――姫路の子どもたちへメッセージを

好奇心をもって、いろいろなことにチャレンジしてみてほしいです。大人になったときに選択肢がたくさんある状態になっていればいいなと思います。

第2位 木戸海友さん/ブラームス:4つの小品 Op.119

――ピアノを始めたのはいつですか

妹がピアノを習っていて、母が子どもの頃に使っていたアップライトピアノが家に運ばれてきました。それまでは興味も触ったこともなかったのに「これを弾いてみたい!」と思いました。同時に「僕は将来、これをやっていくんだ」と直感しました。小学5年生のときです。そのときすでに、音楽の大学に進むことも決めていたように思います。いまは東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程に在籍しています。

 

――練習が辛いときはどうやって乗り越えていますか

演奏会や試験、コンクールなどの本番を控えているときや、曲の内容があまりにも深くて悩んでいるときは練習が辛くなります。そんなときは、できない自分、緊張している自分を受け入れる努力をして、また、「誰でも失敗するし完璧に演奏する必要はない」「悩むということはそれだけ曲と向き合っているんだ」とポジティブに考えるようにしています。大切なのは、聴いてくださるみなさまに、自分らしい演奏を届けること。そんなふうに気持ちを切り替えると、練習を再開できることが多いです。それでも無理なときは気分転換できるものをいろいろ試してみたりもしますが、一週間ほどピアノを触らないときもあります。

 

――受賞者演奏会を終えて、いまの感想は

今回、演奏させていただいた曲は、ブラームスが最後に出版したピアノ小品集です。素敵なホールとピアノで演奏できたことに心から感謝しています。技術的にも音楽の内容もかなり高度で、本当に苦労しました。

 

――姫路の子どもたちへメッセージを

姫路には春のコンクール、今回の受賞者演奏会の2回しか訪れたことがないのですが、2回とも、街がとても綺麗で、人も温かくて素敵なところだなと感じました。そんな素敵なところで暮らしている皆さんはとても幸運だと思います。嬉しいことや苦しいことなどたくさんの出来事があるでしょうが、すべての経験が将来の糧になると僕は信じています。前向きに、未来に向かって突き進んでください。

第2位 渡辺紗蘭さん/クライスラー:ドヴォルザークの主題によるスラブ幻想曲 サラサーテ:カルメン幻想曲 Op.25

――楽器を始めたのはいつですか

ヴァイオリンは3歳で始めました。母に「ピアノとヴァイオリン、どっちやりたい?」と聞かれ、「どっちも」と答えたことは覚えていますが、初めてヴァイオリンを持ったときの記憶はありません。

 

――音楽高校進学を決めた理由は

小学生のときから通っていた音楽教室のほうが学校より楽しく、早く専門の勉強がしたい、音楽高校に進学したいと考えていました。いまは東京音楽大学付属高等学校に特別特待奨学生として在学しています。また、日本ヴァイオリンから名器特別貸与者に選ばれ、楽器を使わせてもらっています。

 

――留学経験はありますか

留学ではないですが、夏休みに、オーストリア・ザルツブルクにあるモーツァルテウム音楽大学のセミナーに参加しました。印象に残っているのは鐘の音。いたるところに教会があり、厳かな鐘の音を聴きながら音楽を学ぶことに強い憧れを感じました。3カ国語を話す人も多く、語学の必要性を痛感しました。ドイツのコンクールに参加したときは、みんなが気軽に話しかけてくれて、すぐに仲良くなれました。自分の視野や考え方が広がった経験でした。

 

―練習が辛いときはどのように乗り越えますか

樫本大進さんやベルリンフィルに憧れているので、辛いときには、一緒に撮ってもらった写真を眺めたり、ベルリンフィルの演奏を聴いたりして自分を奮い立たせています。

 

―受賞者演奏会を終えて、いまの感想は

コンクールとは違った緊張感があり、楽しく演奏できました。ホールはきれいで響きも良く、気持ち良かったです。たくさんの方が聴いてくださって、とてもうれしかったです。

 

――姫路の子どもたちへメッセージを

頑張っていると、嫌になるときや辛いときがあり、我慢しなくてはいけないこともたくさんありますが、そんな時間があるからこそ、楽しいと思える瞬間が訪れるのだと思います。それは音楽だけでなく、スポーツや勉強も同じだと思います。私もまだまだ頑張らないといけないのですが、みなさんも夢をみつけて、夢に向かって頑張ってください!

奨励賞 金未卯さん/ベートーヴェン:ピアノソナタ 第30番 ホ長調 Op.109

――ピアノを始めたのはいつですか

母に連れられて音楽教室に通い始めたのは4歳のときです。最初は楽しく触れているだけで、本格的に学び始めたのは6歳になってからです。

 

――音楽大学に進むことを決めたのは

中学2年生のとき、音楽科がある高校に進むことを決めました。入学試験に合格したときから、音楽大学に進む道ができていたように感じます。先輩方も音楽大学に進む人が大半で、それがあたりまえのように考えていたのかもしれません。現在、京都市立芸術大学の4回生です。習っていた先生の出身大学でもあって憧れがあり、高校2年生のときに進学を決めました。

 

――練習が辛いとき、どうやって乗り越えていますか

小学生の頃は練習が嫌いで、投げだしたいと思ったことが何度もありましたが、今はまったく辛くありません。音楽の道に進むことを自分で決めて、ピアノを弾きたい、もっと上手になりたいという気持ちが常にあるからだと思います。それでも練習に集中できない日はあって、そんなときはお菓子を食べたりして少し休憩を挟んでから再開しています。

 

――受賞者演奏会を終えて、いまの感想は

5カ月ぶりにパルナソスホールで演奏させていただき、とても良いホールだなと改めて感じました。コンクールのときは緊張のあまり、空間の響きに慣れないまま演奏しましたが、今回は響きを楽しみながら演奏できたと思います。このような貴重な機会をいただけて、本当に幸せです。

 

――姫路の子どもたちへメッセージを

舞台で音楽を演奏して、拍手をいただけたときの幸せは、わたしにとって他の何にも代えられないほど貴重なものです。舞台があるからこそ、練習もがんばれます。自分が好きなこと、自分の得意なところをどんどん磨きながら、夢に向かってください!

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